配偶者と別居した場合の配偶者ビザの更新への影響
「日本人の配偶者等」(いわゆる「配偶者ビザ」)は、婚姻関係の実態に基づいて在留を認める在留資格です。
そのため、夫婦が別居している場合には、更新が難しくなる可能性があります。
以下では、別居が配偶者ビザの更新にどのような影響を与えるのか、また別居している場合の具体的な対応方法を解説します。
1 配偶者ビザの前提
配偶者ビザが認められるのは、法的に婚姻関係が成立しており、かつ、夫婦として実態のある生活を送っていることが前提です。
実態のある生活とは、基本的には、同居し、生活費を支え合い、日常的な交流がある関係を指します。
したがって、たとえ戸籍上は夫婦であっても、長期間別居している場合は、実質的な婚姻関係が失われたと判断される可能性があります。
2 別居が更新に与える影響
別居中に配偶者ビザの更新を申請すると、入管は次のような点を厳しく確認します。
・別居の期間はどのくらいか
・別居の理由は何か(やむを得ない事情か、関係悪化によるものか)
・今後、同居を再開する予定はあるか
・現在も夫婦としての交流が続いているか
もし、別居により実質的な婚姻関係が失われたと判断されると、在留資格の更新が不許可となり、最悪の場合は在留資格の取り消しにつながることもあります。
3 やむを得ない事情による別居の場合
別居していても、婚姻関係が継続していると認められる場合は、配偶者ビザを更新できることがあります。
たとえば次のようなケースです。
・仕事の都合で一時的に別居している
・出産や育児のために一時的に里帰りしている
・夫婦間のトラブルはあるが、関係修復を試みている
・病気や介護など、やむを得ない理由で離れて暮らしている
このような場合は、別居の理由と今後の見通しを詳細に説明することが重要です。
単に、一時的に離れて暮らしているとだけ説明するのでは不十分で、具体的な事情と証拠資料を提出する必要があります。
4 別居中に更新申請をする際のポイント
別居している状態で配偶者ビザを更新する場合、以下の点に注意しましょう。
・別居理由を明確に説明する
理由書に、なぜ別居に至ったのか、どのくらい続くのか、今後同居する見通しはあるのかを具体的に記載します。
・夫婦関係が継続している証拠を示す
電話・LINEのやりとり、仕送りや送金履歴、定期的な面会の記録など、実際の交流を証明できる資料を添付します。
・日本人配偶者の協力を得る
日本人配偶者が同意書や理由書に署名してくれると、信頼性が高まります。
もし協力が得られない場合は、客観的証拠をより丁寧に揃えることが必要です。
5 婚姻関係が破綻した場合の対応
もし別居が長期化し、離婚の可能性が高い場合、配偶者ビザを維持するのは難しくなります。
離婚が成立した時点で、配偶者ビザの根拠が失われるため、他の在留資格への変更を検討する必要があります。
主な選択肢としては、定住者、就労系ビザが考えられます。
実態に即したビザ申請をする必要があるため、まずは専門家へ相談することをおすすめします。























